2024年11月13日、原子力規制委員会は、日本原子力発電(原電)が運営する敦賀原子力発電所2号機(福井県)の再稼働審査で「不合格」とする決定を正式に発表しました。規制委が再稼働審査で不合格を出したのは2012年の委員会発足以来初めてのことです。原子炉建屋直下に活断層が存在する可能性が否定できず、新たな基準に適合しないと判断されたためです。
決定の背景と活断層リスク
敦賀2号機については、原子炉建屋から北へ約300メートルに位置する「K断層」が活断層であるとされ、この断層が建屋直下まで延びている可能性が高いとされています。原子力規制委員会の新基準では、活断層の上に重要施設を設置することを禁じています。これに基づき、敦賀2号機の建屋下に活断層がある可能性が否定できないとして不合格の結論が下されました。
規制委の有識者調査団は2013年に敦賀2号機直下の断層を活断層と報告し、2015年に原電が反論として再審査を申請したものの、資料の不備や無断でのデータ書き換えにより審査が2度中断されるなど、問題が相次ぎました。
今後の展望と原電の対応
今回の不合格決定により、敦賀2号機の即時廃炉は求められていないものの、再稼働には困難が伴います。原電は再審査の申請を行うことも可能ですが、規制委の判断を覆すためには新たな証拠が求められる状況です。
加えて、原電が所有する東海第2原発(茨城県)も再稼働の見通しが立っておらず、同社の保有する原発2基が長期間停止する見込みです。今後、東海第2原発も含めた再稼働のためにどのような対策を打つのか、原電の対応に注目が集まっています。
規制委の立場と今後の影響
今回の決定は、活断層のリスクに対する規制委の厳格な安全基準と姿勢を反映しており、他の原発にも影響を与える可能性があります。原発の再稼働審査において「不合格」という判断が下されたことで、今後の再稼働に向けた基準がさらに厳しくなり、審査に長期化の傾向が見込まれています。
日本国内のエネルギー事情や安全対策の強化が求められる中、今回の決定は、他の原発に対する再稼働審査や今後のエネルギー政策に影響を与えるでしょう。