2024年11月11日夜、中国南部の広東省珠海市で悲惨な事件が発生しました。スポーツセンター周辺で、62歳の男性が運転するSUV車が多数の市民に突っ込み、35人が死亡、43人が負傷する惨事となりました。現場では多くの市民が犠牲者を悼みましたが、警察による規制が敷かれ、厳しい取材規制や現場の証拠の速やかな撤去が行われたことが注目を集めています。
事件の詳細と政府の対応
現地メディアによると、事件は現地時間の午後7時48分に発生しました。容疑者は離婚調停に不満を抱いていたと報道されており、事件の背景には個人的な要因があったとされています。中国政府は直ちに専門チームを現地に派遣し、習近平国家主席は厳罰の方針を指示。容疑者は現場で拘束され、調査が進められています。
事件後、珠海の現場には多くの市民が犠牲者を悼むために訪れ、花やろうそくを捧げる姿が見られました。しかし、政府は現場に警察車両を配備し、迅速に証拠の撤去を進め、警備員が記者の取材を制限するなど、取材活動を厳しく制約しました。このような対応は、近年の中国におけるメディア規制の強化を反映しているといえます。
市民とSNSでの反応
今回の事件はSNS上で大きな話題となりましたが、中国のソーシャルメディア上では政府への不満や連続する無差別襲撃事件に対する心理的な懸念が投稿され、迅速に削除される場面が見られました。一部の市民は、事件の迅速な収束を優先する政府の対応に疑問を呈し、「なぜ事件の真相を明らかにせず、すぐに証拠を取り除くのか」といった声が上がっています。
また、珠海市では献血活動が広がり、地元住民が病院に集まり献血を行う姿がソーシャルメディアに映し出され、多くの市民が事件の被害者の支援に立ち上がりました。
政府の意図
習近平主席は今回の事件を受けて、社会問題への取り組みや治安維持を最優先するよう当局に指示しています。特に地方政府には「市民のもめ事を解決する体制づくり」が求められており、広東省では住民のトラブル解決を支援する方針が打ち出されました。
珠海での今回の事件は、中国国内で頻発している無差別襲撃事件の一つであり、社会不安や経済的不安が背景にあると見られています。政府は治安対策をさらに強化するとともに、こうした事件が二度と起きないよう再発防止に注力する方針です。
