特定扶養控除の年収要件引き上げへ―学生の就労環境改善を目指して
政府・与党は、大学生などを扶養する親の所得から一定額を控除し税負担を軽減する「特定扶養控除」について、扶養される学生らの年収要件を引き上げる方針を検討していることが27日に明らかになりました。
現行制度とその課題
現在、特定扶養控除は扶養される大学生などの年収が103万円以下であることが適用条件となっています。この要件は「年収の壁」と呼ばれ、アルバイトなどで収入を得ようとする学生の働き方を制約し、経済的自立を阻む要因として指摘されてきました。
例えば、103万円を超える収入を得ると所得税や住民税の課税対象となり、親が受けられる扶養控除の適用も外れるため、結果的に世帯全体での税負担が増加することになります。
見直しの背景と目的
今回の見直しは、こうした現状を改善し、学生がより自由に働ける環境を整えることを目的としています。政府関係者によれば、「学生が収入面での制約を気にせず働ける仕組みを作ることで、学業と就労の両立を支援したい」との考えが背景にあります。
新たな年収要件の方向性
具体的な引き上げ幅や適用時期についてはまだ議論の段階ですが、150万円から180万円程度まで年収要件を引き上げる案が浮上しています。この改正により、学生アルバイトの時間や収入の自由度が増すと期待されています。
課題と今後の見通し
一方で、年収要件の引き上げに伴い、制度利用者の増加による税収減少や、扶養控除制度全体の見直しが必要になるとの指摘もあります。特に、地方自治体が受け取る住民税の減収への対応が課題となる可能性があります。
政府・与党は、学生の経済的自立を支援する一方で、税制の公平性を確保するための詳細な検討を進めるとしています。
学生や家族への影響
この見直しにより、アルバイト収入が年収要件の上限を超えることを心配する必要が減り、多くの学生が学業と就労の両立を図りやすくなることが期待されています。学生だけでなく、その家族の経済的負担も軽減される可能性があります。
制度の詳細が明らかになるまで、引き続き注目が集まっています。