2024年11月8日、政府は医療費が高額になった際の患者の自己負担額を一定に抑える「高額療養費制度」について、その上限額を引き上げる検討に入りました。高齢化に伴い医療費が膨らむ中、制度の持続可能性を確保し、医療保険の財政健全化を目指す狙いがあります。具体的な引き上げ時期や幅については今後の議論で決定される予定です。
高額療養費制度の上限引き上げの背景
高額療養費制度は、月ごとの医療費が一定額を超えた場合、その超過分を支給する仕組みで、現在の上限額は年齢や所得に応じて定められています。たとえば、年収約370万~770万円で自己負担が3割の人の場合、1カ月あたりの支払いが約8万円に抑えられています。しかし、医療費の増加が続く中で、政府は物価や賃金の変動を考慮し、上限額の引き上げや高所得者向けの新たな上限額を設けることを視野に入れています。
さらに、政府は70歳以上の高齢者が外来受診した際の自己負担を軽減する特例措置の見直しも検討しています。この特例は高齢者の医療費負担を抑えるためのものでしたが、財政負担の増加や世代間の公平性の観点から再評価が求められています。
社会保障改革に向けた政府の動き
石破首相は8日、首相官邸で開かれた「全世代型社会保障構築本部」の会合で、医療費自己負担の見直しを含む社会保障の歳出改革工程表を具体化するよう関係閣僚に指示しました。首相は「人口減少時代に合った、全世代が活躍できる社会保障への転換に向けて検討を深めてほしい」と述べ、高齢化社会に対応した持続可能な医療保険制度への改革を進める方針を強調しました。本部の下には有識者会議が設けられ、今後、さらに詳細な議論が行われる見通しです。
今後の見通し
政府内での議論を通じて、具体的な引き上げ幅や実施時期が決定される予定であり、医療費負担の見直しは国民生活に影響を及ぼすため注目されています。改革内容は、国民にとって重要な課題となっており、引き続き慎重な検討が求められています。