近年、患者と美容クリニックとのトラブルが増加していることを受け、厚生労働省は美容医療の透明性を高めるために、患者の要望や施術内容をカルテに記載することを徹底する方針を示しました。この方針により、トラブルが発生した際に速やかな対応が可能になり、違法・不適切な施術を抑制する効果も期待されています。
カルテ記載の必要性と問題点
これまで、患者が医師にどのような医療行為を求めたかがカルテに記載されていないケースが多く、保健所が実態を把握しづらい状況が続いていました。さらに、美容カウンセラーなど資格のないスタッフが医療行為に関与するなどの違法な事例も増加しており、患者の安全を確保するための対策が急務とされていました。
新たな安全対策としての報告義務
厚労省は、美容クリニックに対し、患者対応や安全管理に関する取り組み状況を年に一度、自治体へ報告することも義務化する方針です。これにより、医療機関が適切に運営されているかを定期的に確認し、不適切なクリニックには是正を促す仕組みが整えられます。さらに、この報告内容は自治体により公表され、国民からのチェック機能が働くことで、美容医療の透明性向上にもつながる見通しです。
今後の展望
厚生労働省は、カルテ記載徹底や年次報告義務化を実現するため、法改正を含めた具体的な対策を進める予定です。これにより、美容医療に対する信頼性を高め、患者が安心して医療サービスを利用できる環境づくりが期待されています。
